金属学の権威者、藤井哲雄先生(技術フェロー)にご評価を頂きました。
藤井先生プロフィール
藤井哲雄(ふじいてつお)
・1937年 岐阜県生まれ
・1960年 名古屋工業大学卒業
・1965年 京都大学院工学研究科修士課程修了
・1965年 科学技術庁金属材料技術研究所
・1995年 横浜国立大学客員教授
・2009年 新潟大学院非常勤講師
工学博士、NACE CP Specialist
SHASE技術フェロー
藤井先生から頂いたご評価です。
リ・パイプブロック工法の見学
藤井哲雄
給湯銅管の腐食によって発生したピンホールを効果的に修復する「リ・パイプブロック工法」があると聞いて新座市にあるニッポン・リニューアル(株)のテクニカルセンターを訪れました。
銅管は耐食管と呼ばれ、給水・給湯配管や空調配管に広く使われていますが、しばしば腐食によってピンホールを生じることが問題となっています。かつて銅管の孔食と水質の関係について研究を行ったことがありますが、なかなか解決の難しい問題です。
テクニカルセンターではピンホールを有する銅管試験体を用いて、ピンホールをブロックするデモンストレーションが行なわれました。まず銅管内面の析出物や腐食生成物を酸でとり除くフラッシングが行われました。
シリケート皮膜は取り除くことが難しく、酸と共に物理的効果も加えてシリケートや緑青の除去が可能になったとのことです。ついで、ブロック工程では気水混合水に小さなシリコンボールを加えて水圧をかけると、ピンホールから勢いよく吹き出していた水がピタッと停止し圧力計の針も停止します。
外面のピンホール部を見るとシリコンボールが詰まっているのが確認でき、止水したことが解ります。
続いてライニング工程では無溶剤型の耐熱エポキシ樹脂塗料を流して内面に白色塗膜を形成します。さらに耐熱塗料を二層に塗布し、最後に耐圧試験を行って修復を終わりました。
径1mmほどのシリコンボールがピンホールに入りこんで穴を塞ぐ工法には驚きました。
この工法の特徴はユニットバス下に埋められた銅管に対して敷設したままで銅管内面から処理できることです。
本工法の開発者である工藤秀明社長によると、シリコンボールの製作、酸洗浄法、耐熱塗料の開発では試行錯誤を繰り返しだったとのことでした。本工法の将来性については、マンションの給湯器に接続する銅管への適用に需要が益々見込まれるとのことであった。
大変有効な工法と感じました。
藤井先生の書物が工法開発の基礎知識となりました。
リ・パイプブロック工法を開発するにあたって、数々の難問が現れては色々な文献を読まさせて頂きました。そうした中で最も分かりやすく、難しい専門的な分析が明快に記載されていたのが藤井先生の出版物でした。
どの書籍も何度も何度も読まさせて頂き励まされました。枕元にも、会社のデスクにも、絶えず置いて、いつでも読める様にしました。寝る前も、寝て起きても、何度も何度も読みあさりました。
「リ・パイプブロック工法」は藤井先生の書籍類がベースになっていると言っても過言ではありません。大変、感謝しております。
リ・パイプブロック工法、開発者: 工藤秀明
目で見てわかる 金属材料の腐食対策
発行者:井水治博
発行所:日本工業新聞社
錆・腐食・防食のすべてがわかる事典
発行者:田村正隆
発行所:株式会社ナツメ社
金属の腐食事例と対策
発行者:新谷滋記
発行所:株式会社 工業調査会
鐵と錆のページ
発行者:MyBooks.jp
発行所:欧文印刷株式会社
64の事例からわかる金属腐食の対策
発行者:森北博已
発行所:森北出版株式会社